【要約・書評】運転者|物語のあらすじとその「教え」を紹介

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本記事はこのような方に向けて書きました
  • 「運転者」の内容が気になる
  • 何事もうまくいかずに悩んでいる
  • 自己啓発小説が読みたい

こんにちは、アシリパです。
喜多川 泰さん著の「運転者」を読みました。

「何もかも裏目に出てしまう」「自分には運がない」
何をやってもうまくいかずに落ち込んだり、悩んだりしていませんか?

この本はそんなことを思った時に、勇気を与えてくれるような一冊です。

以前の記事で紹介した「君と会えたから……」の著者の喜多川さんが書かれたもので、この本も「自己啓発小説」というジャンルにあたります。
小説という物語のなかで、読者自身の考え方や物事の見え方をガラッと変えてくれるような「教え」を、主人公を通して私たちに伝えてくれます。

そして、この本で出てくるその「教え」とは、物語の主人公と年齢が近い30代サラリーマンの私にとっても心に刺さるものでしたし、仕事もプライベートも今よりもっと頑張ろうと勇気をもらえました。

そこで本記事では、その「教え」について3つを紹介したいと思います。
今何かを抱えて悩んでいる方のお役に立てれば幸いです。

作品情報

運転者
著者:喜多川 泰

小説としての面白さと自己啓発本としての学びが詰まった一冊です。もともと小説を読むのが苦手な私ですが、啓発本としての教えがどれも素晴らしく、また主人公が置かれた状況に感情移入をしてしまって、気づけば最後まで一気に読んでしまいました。ちなみに物語の中にはいくつかの伏線が織り交ぜられてますので、読み終わってからもう一度読んでみるのもオススメです。

物語としてのあらすじ

物語の主人公は中年サラリーマンの「修一」。
修一には、妻の「優子」と中学二年生になる娘で現在不登校中の「夢果」、それに遠方で暮らす母の「民子」がいる。
仕事は完全歩合制の生命保険会社の営業マンで、前職の中古販売会社の営業マンから転職してきたばかりだ。生命保険の仕事にはやっと慣れてきたが、最近思うような成果を出せていない。
転職直後に獲得した大型契約のおかげで最初の給料は良かったのだが、それから思うように契約が取れておらず、しまいには今契約中の保険についても一斉解約の話が入ってきた。
給料が完全歩合制のため、このままだと来月の給料が大幅に削減されるだけでなく、違約金も払わなければならない。
そんな仕事の悩みが尽きない中で、プライベートの悩みも抱えている。
修一は家族とうまくはいっていない。
優子とは、お金や夢果のことでぶつかり、そんな夢果は修一の言葉を聞こうとはしない。
遠方で暮らす民子については、そろそろ介護について考えねばならず、余計に頭を抱えていた。
そんな今の状況に修一の頭の中はパンク状態であった。
「…なんで俺ばっかりこんな目に逢うんだよ」
思わず独り言を言ったその時、修一の前に一台のタクシーが止まる。
吸い込まれるようにそのタクシーに乗った修一であったが、タクシーの運転手は行先を聞かずに勝手に走り出す。
車内で会話をしていると、その運転手は修一が置かれた今の状況や行先を不思議と知っているようだった。
しかし、少し小バカにしたような話し方とその理由をハッキリ話さない運転手に、次第にイライラする修一。
何者だと問い詰める修一に、運転手は「運を転じる者です」と答えます。
「僕の仕事は連れて行ってほしいところじゃなくて、運が良くなる場所にお連れすることです」
修一が聞き返そうとするが、いつの間にかタクシーは修一が向かうべきところに到着していた。

それからもタクシーは修一の目の前に度々現れた。
運が良くなる場所に連れていくと言っているが、それを全く実感できない修一。
何も変わらないことにイライラする修一に、運転手はある「教え」を伝えます。

心に刺さった「教え」

運転手が話す「教え」は読者の心に深く刺さるものばかりです。
なぜなら、その教えとは私たちが”普段当たり前だと思っていた意味合い”と大きく異なるからです。

たとえば「運」についての教えです。
私たちにとっての「運」とは、「良い」「悪い」という意味合いでとらえていますが、本書では「貯める」「使う」と表現しています。
つまり、運とは先に貯めるがあって、ある程度貯まったら使うことができるものだと表現しているのです。

このように本書では私たちが当たり前ととらえていた物事の見方を大きく変えるような教えがたくさん出てきます。
そして、この教えの意味を知ることで、明日へ生きる希望や勇気が自然と湧いてきます。

そこでここからは、その教えを3つご紹介したいと思います。

いつも上機嫌でいること

「運が劇的に変わる時、そんな場、というのが人生にはあるんです。それを捕まえられるアンテナがすべての人にあると思ってください。そのアンテナの感度は、上機嫌のときに最大になるんです」

運転者 P103

人生がふと変わるような転換点が訪れることがあります。
そしてその転換点の多くは、人との出会いがきっかけであるはずです。

「たまたま良いお客様に恵まれて売上があがった」「たまたま出会った女性と仲良くなって結婚した」「たまたま席で隣だった人と友人になった」

私たちが日々出会う人は、最初はただの他人でしかありません。
しかし、その他人もそれぞれの人生があって、これまで生きてきた一人の人間です。

そんな他人に興味を持って接点を見つけて会話が始まると、「見知らぬ人」ではなくなり、重なると「知人」になり「友人」にもなります。
そして、時には「恩人」などの運命の人にまでなって行きます。

しかし、そのきっかけは自分が上機嫌でいなければ得ることはできません。
なぜなら、誰もが不機嫌である人から話しかけて欲しいとは思わないからです。
いつも上機嫌でいること。そのことが自分の人生を変えるような人とのきっかけを作るのです。

上機嫌でいるためには

ストレス社会で生きていると、いつも上機嫌でいることは難しいと思うことがあります。
「会社の上司に怒られた」「家族と喧嘩した」「財布を落としてしまった」
そんな時は、どうしても不機嫌になってしまいます。

しかし、そんな時でも上機嫌でいるための方法があります。

それは、「損得感情から離れること」です。
今起きた失敗を引きずらずに、これからのことに目を向けます。

失敗したからおとなしくしておこう、やめておこうではなく、これから起こることを純粋に楽しむ気持ちを持つのです。
もし自分があることで不機嫌になってしまった時は、心の中で「次に起こることを楽しもう」と思ってみてください。

「運」は後払い制

「運は〈いい〉か〈悪い〉かで表現するものではないんですよ。〈使う〉〈貯める〉で表現するものなんです。先に〈貯める〉があって、ある程度貯まったら〈使う〉ことができる。運は後払い制です。何もしてないのにいいことが起こったりしないんです。」

運転者 P104

運が良かったと思える経験は誰しもあるかと思います。
しかしその教えによれば、運が良かったのはこれまで貯めてきたものを単に使っただけだと表現しています。

たとえるなら運とは「ポイントカード」のようなものです。

たまたま出世できたのも、たまたま事業で成功したのも、単にその人が恵まれていて運が良かっただけではなく、運という「ポイント」を使ったからなのです。

運は「あること」をしていると、日々貯まっていきます。
そして、貯めたポイントはある時に使うことができるのです。

運を貯めるための「あること」とは、次を意識すれば誰でも行うことができます。

ポイントを貯めるためには

運というポイントを貯めるには、2つの方法があります。

1つは前にご紹介した「いつも上機嫌でいる」ことです。
日々上機嫌でいれば、ポイントは自然と貯まっていきます。

周りでいつも笑顔で上機嫌な人は、何かと恵まれているなと思ったことはありませんか?
上機嫌な人には、自然と周囲の人が集まってきます。
なぜなら、人間誰しもが好意を持って接してくれる人に親しみを感じるからです。

そして、周囲の人はその好意をその人に何かしらのかたちで返したいと思うようになります。
すると、その人に対して優しくなったり、何かを与えるなどのお返しが生まれます。
これこそまさにその人がこれまで貯めていたポイントを使った瞬間なのです。

そしてポイントを貯める2つ目が、「何かをしてあげたことと、してもらったことの差」をつくることです。
たとえば友人の引っ越しを手伝ったとして、そのお礼に鰻をご馳走してくれたとします。

それは友人の幸せのために自分の時間を使った対価にあたりますが、もしこのお礼が現金20万円だったらどうでしょうか?
反対に何ももらえなかったらどうでしょうか?
感覚的に現金20万円であれば、「運を使った」と考えますし、反対に何ももらえなかったら「運を貯めた」と言えます。

このように誰かのためにしてあげたことが大きければ大きいほど、もらえる対価が少なければその分だけ運を貯めたことになるのです。

プラス思考を持つこと

「自分の人生にとって何がプラスで何がマイナスかなんて、それが起こっているときには誰にもわかりませんよ。どんなことが起こっても、起こったことを自分の人生において必要な経験に変えていくというのが〈生きる〉ってことです。だから、どんな出来事だってプラスにできますし、逆にどんな出来事もマイナスに変えてしまうことだってできる。」

運転者 P144

「プラス思考でいることが大事」だと誰しもが一度は言われたことがあるのではないでしょうか。
しかしその意味合いは、ネガティブな思考から切り替えるための意味合いが強いように感じます。

たとえば、仕事で何かの失敗をしたときに、後に引きずらないために、プラス思考でいようと考えます。
しかし本書では、プラス思考を「これから起こること」に対してではなく、「起こったこと」に対して考えるものだと話しています。

つまり、自分の人生でどんなことが起こったとしても、それが自分の人生においてどうしても必要だから起こった大切な経験だと思うことが本当のプラス思考なのです。

確かに人生には大きな失敗や不幸、災害なんかの「将来の自分にとってプラスなんだ」と納得できないことも起こりえます。
しかし、そんな時はプラス思考を別の解釈で考えてみることが大切です。

使う運より貯める運を多くする

私たちはこれまでたくさんの人たちが努力してきた恩恵のなかで生きています。
今私たちが、衣食住含めて何不自由なく生活できているのは、先代が作ってきた恩恵のおかげなのです。

もちろん、私たちにもいつかは死が訪れます。
しかし、その時に私たちが生きてきた時よりも少しでも多くの恩恵を残してこの世界を去ることができたとしたらどうでしょうか?
自分の友人や家族含めたすべての人たちが今よりももっと恩恵を受けれるように、自分の役割を果たして生きていくこと。私が生きたことで少しプラスになる、このことこそが「真のプラス思考」と言えるはずです。

誰よりも運を貯める生き方をすること、貯めた運の半分くらいを使って生きて、それでも誰よりも得られるものが多いというのは素敵な生き方です。

「運は使い果たすものではなく、次世代に残すもの」。そのために上機嫌でいて、誰かに与えるものが大きければ今生きている意味をプラスとして感じることができるはずです。

いかがだったでしょうか。
教えのなかに何か心に刺さるものはあったでしょうか。

本記事で紹介した教えはどれも日常的に意識して継続し続けなければ意味はありません。
しかし、毎日続けた先には明るい未来が待っているはずです。

私も何か落ち込んでネガティブな考え方にとらわれてしまった時は、もう一度この本を読み返してみたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからもブログの記事向上に向けて投稿を続けていきます。

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