【新しい文章力の教室】完読される文章の目指し方

読書

この本は次のような悩みを持つ人におすすめです

「ブログやWEBライティングを始めたばかりで書き方を学びたい」
「今よりももっとうまく文章を書けるようになりたい」

文章を書くことに苦手意識のある方は少なくないかと思います。

また普段から文章を書く機会のある方であっても「なんとなくは書けるが伝えたい内容ではなかった」「書くのに時間がかかる」などの悩みを持った方もいらっしゃるかと思います。

そういう私も実は最近まで文章を書くのはあまり得意ではありませんでした。しかし本書と出会うことで多少なりとも文章の苦手意識を克服できたと思っています。

良い文章とは完読される文章である

今ではネット検索を使えば調べたいことがすぐに簡単に見つかる時代です。

世の中にこれだけ情報があふれて時間に追われていれば、読みもの一つをとっても探したい情報だけを探す”時短な読み方”は今や当たり前になってきています。

しかし著者は、そのような現代のこらえ性のない読み手に情報をしっかり伝えるためにも「完読される文章」を書くことをすすめています。

当然ですが書き手へ伝えたいことは一部を読んでもらうより全部を読んでもらう方が断然伝わります。またせっかく書くわけですから全部を読んでもらったほうが書き手としては嬉しいわけです。

本書では「良い文章=完読される文章」をテーマに文章の王道の書き方を紹介しています。

ここからは本書のなかでも特に私が重要だと思ったポイントを3つ取り上げて紹介していきます。

作品情報

新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング

著者:唐木元

著者は国内大手ポップカルチャー専門ウェブメディアのナタリーで長年編集長を務められた方です。編集長のかたわら主業務として行っていた新人ライター向けの研修(唐木ゼミ)で培われたノウハウが本書にまとめられています。

読んだ動機

プロブロガーのヒトデさんがブログ始めるならまずこれ読んでおけと紹介されていて気になったため

ポイント①:書く前の準備で70点くらいの文章がつくれる

いきなり本書の核心となりますが、完読されるために最も重要になるのは書く前の準備です。つまりは書く前に文章の構成をしっかり練り上げることができるかが良い文書作りの鍵となります。一見すると読みやすそうな文章でも、または学術的な難解な文章でも根拠が乏しく中身が空っぽであれば読者は離脱してしまいます。反対にその文章を読んで納得できるようにロジカルに書かれていれば読者もストレスなく最後まで読み進めることができます。

そこで文章をロジカルにする具体的な方法とは文章を書く前に主眼と骨子を定めることです。

•主眼:テーマ、コンセプト、自分なりの切り口

•骨子:何を話すか、どれから話すか、どくれい話すかを決めること

文章全体で自分はどのようなテーマを伝えたいのか、またそれを伝えるために各章で何をどこから・どれくらい話していくのかを準備段階でしっかり決めます。本書ではそのひな形として構造シートを紹介しています。構造シートとはノート1枚に次のような順番で書き込み主眼と骨子の設定を行う方法です。

  1. まずノートの1番上に空白のテーマ欄をつくる
  2. テーマ欄の下に書きたい内容の話題をひたすら列挙する
  3. ②の話題全体から主眼を設定する
  4. 主眼を①のテーマ欄に書く
  5. 話題の中で伝えたい順番を考えて番号をふる
  6. 新しい紙に改めて主眼を書き直す
  7. 話題を順番通りに並べ直す
  8. その話題の中でアピールしたい優先順位を格付けする(ウェイトをABCで設定する)

6と7であえて新しい紙に主眼と話題を順番通りに書き直しているのは、その主眼と話題のつなぎに違和感がないかを確認するためです。

書く前の準備でこの構造シートを書き上げることで頭のなかにある筆者が伝えたいテーマとそれを裏付ける話題を整理することができます。また実際に書く作業ではこの構造シートに言葉を肉付けしていくことでロジカルな文章を作り上げることができるのです。

本書によれば文章のプロと呼ばれている人の頭のなかにはこの構造シートが必ずあるとのことです。つまり私たちも普段からこの構造シートを作るトレーニングを行うことでプロのような人に読まれる文章の基礎を固めることができるのです。

ポイント②:あとの30点は書き方などのテクニック。文章のビジュアルを意識する

ポイント①では、主眼と骨子を定めてロジカルな文章にすることで誰でも70点くらいの文章を目指すことができると説明しました。ここではその文章を100点にするための方法について説明していきます。

その方法とは文章を細かく見直して完成度を高めることです。

ポイント①と比べると急に地道な方法になりましたが、著者によれば70点以降の点数をとるには細かいテクニックで磨いていくしか方法がないと話されています。そのため第2章では文章全体を推敲するマクロな視点で、第3章では文章の細部を磨くミクロな視点での文章テクニックが紹介されています。

ここで特に紹介したいテクニックは、「文章内の漢字とかなのバランスに注意すること」です。

実は文章は漢字とかなの文字数の比率によって見え方が大きく変わってくるのです。

①曽我部恵一が十二月二十四日に新譜「My Friend Keiichi」を発表。一晩で完成させたと云う、全て弾き語りに依る十一曲を収録。外装表面には自画像が描かれ、個人的雰囲気が包装からも感じられる。

②曽我部恵一が12月24日にニューアルバム「My Friend Keiichi」をリリースする。ひと晩で完成させたという、すべて弾き語りによる11曲を収録。ジャケットには自画像が描かれ、個人的な雰囲気がパッケージからも感じられる。

③曽我部恵一が12月24日にニューアルバム「My Friend Keiichi」をリリースする。曽我部がひと晩でこしらえたという、すべて弾き語りによる11曲が収められる。ジャケットにはポートレートが描かれ、パーソナルなフンイキがパッケージからも感じられる。

-”引用:新しい文章力の教室 P78

上の①は漢字が多い文章ですがパッと見ると段落が黒く見えます。一方、③はひらがな・カタカナが多い文章ですが段落が白っぽく見えます。また②はその中間で段落がグレーっぽい見え方ができます。

著者は、そもそも文章を読む行為とは文章の見た目のイメージや立ち現れるリズムと一緒に脳で意味を捉えていく行為と定義しています。そのため文章の見た目も読む行為そのものの一つになります。

例文のとおり文章の見た目が黒っぽければ難解な学術的な文章に見えてしまいますし、逆にひらがなが多いと幼稚な内容にも見えてしまうのです。

まさか文章のパッと見のイメージで見え方が大きく変わるとは驚きです。

では目指すべき文章の見た目とは何でしょうか。

文章を読まれるシーンやターゲットによっては文章の見せ方は変わってきますが、普段の生活や趣味のブログ・Webライティングで書く分には②のように漢字とひらがな•カタカナがほど良く混ざったグレー調の文章が一番読みやすいと思います。数年前と比較するとSNSやネットでは漢字の割合よりもひらがな・カタカナの割合が多い文章が多く使われてきています。本記事を読まれている方は時代に合わせてグレー調の文章を意識するのが良いと思います。

ポイント③:ニッチなテクニックで完読を目指す。主観的意見を取り入れる

第2章と第3章ではどの文章でも共通する書き方のテクニックを紹介しています。次の第4章・第5章はその時々のシーンや状況によっては完読に必要なテクニックを紹介する章になります。そのため自分にそれが合うのかどうかは読み手によりますが、ここではブログ初心者の私に特に刺さったテクニックについて紹介します。

そのテクニックとは、ブログや感想文、レビューのような文章は客観的事実よりも主観的意見を配置して、それを事実で補強していく書き方をすること。そして主観的意見は「同意」と「深堀」で見つけるという方法です。

ブログ・感想文なんかでは筆者の主観的意見でその記事が面白いかどうかが決まります。ブログ初心者の私でも理解していますが、その核となる主観的意見を見つけるのがなかなか難しいのです。

本書では主観的意見を「同意」と「深堀」で見つける方法を紹介しています。

何かの出来事の感想に対して「同意」したうえで違和感や疑問が出てきた瞬間に「それってどういうこと?」という自分のツッコミを入れて「深堀」をして主観的意見を探すという方法です。

例えば、新作のミステリー小説を読んだことに対して「同意」と「深堀」を行っていきます。

「今作は面白い:同意」→「前作と大きく違う:深堀」→「主人公に感情移入してしまう:深堀」→「自分と境遇が似ている:深堀」→「自分と同じ境遇の人は特に刺さる小説:主観的意見」

このようにまずは自分の直観的な感想になるほどと同意します。次に、それに対してそれってどういうこと?と深堀を行います。深堀をかけ続けて最後にくるのが主観的意見になります。文章を書く際にはこの主観的意見に客観的事実を補強していくことで読み手を惹きつける文章を書くことができます。

この深堀が深ければ深いほど主観的意見が出やすいですし、そのためには同意をして深堀のきっかけを作らなければいけません。

私は今後も書評を書き続けたいですし、そのためにも実際の本を読んでいる最中に「同意」と「深堀」で主観的意見を導く能動的読書を行い読み手を惹きつける文章作りを目指していきます。

感想

約200ページくらいある本ですがとにかく内容が分かりやすくあっという間に読めてしまいます。一節一節自体がそれほど長くないうえ文章の事例もふんだんに紹介されていてスムーズに理解ができてしまいます。ただし内容が盛りだくさんで一回読んだだけでは消化しきれないと私は感じたため何回も繰り返しよんでいきたいです。読む時間がないよという方は、まずはこれをやれば70点の文章を作れるという第一章だけでも読むのもはありかと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

これからもブログの記事向上に向けて投稿を続けていきます。

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